職人紹介
私は三代目として、この店を預かっております。
眼鏡の専門学校で基礎を学んだのち、大阪にて丁稚奉公として八年間、眼鏡職人の世界に身を置きました。
フレームの調整、レンズの選定、掛け心地の追い込み、数字や理論だけでは辿り着けない「人に合わせる技術」を、現場で徹底的に叩き込まれました。
眼鏡は顔の一部になる道具です。
わずかな歪みや違和感が、日々の疲れやストレスにつながる。
だからこそ、ミリ単位ではなく、感覚の単位で仕上げる必要があります。
その感覚は、時間をかけて手を動かし、人と向き合わなければ身につきません。
当店がハンドメイドのオーダー眼鏡を得意とするのは、そのためです。
大量生産では拾いきれない個性や悩みに、一本ずつ応える。
「見る」という日常に最も近く、最も個人差が現れる道具だからこそ、既製品だけでは応えきれない領域がある。
その領域に、職人の仕事があると考えています。
修理も販売も、その延長線上にあります。
修行を終え、島根へ戻った今も、時計修理から受け継がれてきた「直せるものは直す」「良いものを長く使う」という思想は変わりません。
形は変われど、根にあるのは同じ職人の仕事です。
百年に届こうとするこの店の歴史は、派手な革新ではなく、手を抜かない積み重ねによって築かれてきました。
これからも、眼鏡を中心に、人の暮らしに寄り添う仕事を続けていきます。
佐々木 秀典
